〈新〉天売島探鳥のすゝめ

5年前に「天売島探鳥のすすめ」という記事を書きましたが、今回は探鳥ポイントを打ち込んだ地図を作成し、天売島のどこを探鳥すれば良いか一目瞭然で分かる記事を目指して書きましたので、島の様子が分からず行くか悩んでいる方は是非この記事を読んで天売島へ足を運んでみてください。

 

〈アクセス〉

天売島へ行くには羽幌からフェリーで島に渡ります。道民鳥屋はフェリーターミナルまで車で行き船に乗る人が圧倒的多数派ですが、実は朝に札幌駅からバスに乗って羽幌に向かえば、春期間なら午後の船で島に渡ることが出来ます。秋期間は1日1本しか船が出ないので、公共交通機関を使うと羽幌宿泊をする必要が出てきます。道外からGWで長期に島に滞在する予定の方はバスでの移動がコスパが良くお勧めです。

 

〈宿〉

島には6つの宿泊施設があります。春夏はいづれも営業していますが、秋冬は営業している宿が限られますので、計画時点で泊まれる宿を確認することをお勧めします。ご飯は民宿栄丸が一番おいしく量があった覚えがあります。学生時代からお世話になっているゲストハウス天宇礼は価格が安くおすすめです。個室が1つしかなく女性に優先して割り当てられるため、殆どの場合で相部屋の2段ベッドが割り当てられますが、正直1日探鳥して疲れ切っているので食事をとったら気絶するように寝るため、あまり気になったことはありません。食事をつけることも出来て、天売の食材を使った料理を出してくれます。

 

〈時期〉

おすすめ時期は5月1週目から3週目と11月です。個人的には鳥数が多い9月も面白い時期だと思いますが、他にもシギチや鷹の渡り、学会など鳥イベントが盛り沢山な時期なので足を運びづらいです。

 

〈探鳥ポイント〉

主要な探鳥地は殆ど東側にあります。西側にある赤岩展望台は、海鳥繁殖地の上にあるため、ウミガラス、ケイマフリ、ウトウなどを見ることが出来、初めて天売島に訪れる際には足を運びたいポイントです。東側から赤岩に向かう道中に珍鳥がいる場合も少なくなく、西側ではコウライウグイス、オウチュウ、アカアシチョウゲンボウ、バライロムクドリなどが出たこともあります。また西側では秋冬にはよくオオモズが見られ、風のない夜にはコミミズク、トラフズクなどが見られることがあります。

・赤岩展望台 海鳥観察が出来る場所で、高確率でウミガラス、ケイマフリなどが見られる。秋、冬は赤岩周辺の外周道路で、ユキホオジロ、ケアシノスリなどが良く見られ、ヤマヒバリ、シベリアジュリンが見られた年もあった。

 

(青線・5月のおすすめの探鳥ルート)

自分が良く通るルートの1例を青線で描いてみました。自分はこのルート+天候や狙う鳥によって気になる場所を追加で寄ってみたりして島を彷徨っています。4月や11月は灯台までの道や外周、フットパスの北側の道の方が珍鳥に出会うことが多いため、ルート選びが難しいです。

灯台 木がほとんど生えておらず、開けており笹で覆われている中に砂利が敷き詰められた通り道が1本、灯台まで続いている。猛禽類やヒバリ類、ツメナガ/ユキホオジロなどが期待出来る。また、所々にあるブッシュにムジセッカなどが入ることもある。春は高確率でオオジシギがいる。通年チェックしたいが、特に11月や4月などがおすすめ。

・フットパス入口~フットパス①  フットパス入口側はやや開けており、ツグミ類やアオジノゴマを良く見かける。フットパスに入ると針葉樹帯があり、その先に広葉樹がメインに変わる。針葉樹帯の場所は薄暗く、フットパスの通路でツグミ類が採餌をしていることが多い。広葉樹と針葉樹が混ざったやや明るい林はヒタキ類やムシクイが観察し易い。

・フットパス② フットパス②周辺は片側に背の低い針葉樹が通路沿いに植えられており、もう片側は広葉樹がまばらに生えた明るい林となっている。ムシクイ、ヒタキ類が観察し易い。

・フットパス③~ノゴマ館〜フットパス④   針葉樹メインの薄暗い林と広葉樹メインのやや明るい林の境界で、ムシクイ、ヒタキ類の数が一番期待できる。珍鳥も多い。

・フットパス⑤ ナナカマドやハンノキが生えており、秋には多くのアトリ類やツグミ類などが集まる。春もハンノキでベニヒワの群れが採餌していた年もあった。2019年秋にナキイスカを発見したのはこのポイント。

・校庭 天売小中学校の校庭。生徒や先生の迷惑にならない様に学校を使用している時間帯は訪れるのを避けるべきだが、ツグミ類、セキレイ類やヤツガシラ、雨の後はシギチなどが降りている事もある。

・前浜港 ヒバリ類やセキレイ類、エンベリが入る事がある。鳥がいない事が多いが偶に珍鳥が入るらしい。

・外周道路 道沿いでエンベリが採餌していたり、道沿いの畑や空き地でムジセッカやオジロビタキが見つかる事がしばしばある。

・桜並木 桜が道沿いにならんでいて、2018年の春にはチョウセンメジロの群れが採餌していた。それ以降、そんな光景は拝めていないが、ツグミ類やヒタキ類が見られる事もあるため注意が必要だ。

・神社 朝イチや天気が崩れた後など、鳥が入ってきた時に最初に鳥が入るイメージがある場所。ヒタキ類、エンベリ、ツグミ類など色々な種類の鳥が見られる。必ず見逃したくない場所の一つ。

・海岸の道 稀にサバクヒタキ類などの珍鳥が入るらしい。コホオアカやシベリアアオジをよく見かける。

・ゴルフ場 ツグミ類やセキレイ類がよく入る。抜けていく直前の鳥が入るイメージがある。

天売港 偶に怪我をした海鳥が入る事がある。また港の草地にセキレイ類やヒバリ類が入ることがある。また航路では冬から春にかけてよくハシジロアビを見かけるため出来れば航路でも探鳥したいところだ。

観音崎 秋から冬にかけてケアシノスリノスリが多い。積雪が進むと道が分からなくなるため危険である。

 

〈ブログ主が実際に天売島で観察した野鳥〉

f:id:kitanominami:20240816163647j:image

チョウセンメジロ(2018.5桜並木)

 

f:id:kitanominami:20240816163716j:image

ムギマキ(2019.5フットパス③付近)


f:id:kitanominami:20240816163640j:image

ハシジロアビ(2019.5天売航路)


f:id:kitanominami:20240816163656j:image

オオハム(2019.5天売港


f:id:kitanominami:20240816163650j:image

キマユホオジロ (2019.5外周道路)


f:id:kitanominami:20240816163737j:image

ムジセッカ(2019.9フットパス②付近)


f:id:kitanominami:20240816163711j:image

ユキホオジロ(2019.11赤岩展望台付近)


f:id:kitanominami:20240816163740j:image

ヤマヒバリ(2019.11赤岩展望台付近)


f:id:kitanominami:20240816163713j:image

ナキイスカ/イスカ(2019.11フットパス⑤付近)


f:id:kitanominami:20240816163723j:image

ケアシノスリ(2019.11観音崎付近)


f:id:kitanominami:20240816163708j:image

オオノスリ(2020.1灯台


f:id:kitanominami:20240816163644j:image

ケアシノスリ(2020.1島北側の外周道路沿い)


f:id:kitanominami:20240816163729j:image

ベニヒワ(2020.1フットパス②付近)


f:id:kitanominami:20240816163718j:image

オジロビタキ(2023.5桜並木付近)


f:id:kitanominami:20240816163721j:image

カマシコ(2023.5神社)


f:id:kitanominami:20240816163734j:image

シラガホオジロ(2023.5フットパス入口)


f:id:kitanominami:20240816163659j:image

オオモズ(2023.11フットパス北側の道)


f:id:kitanominami:20240816163705j:image

コバシギンザンマシコ (2023.11ノゴマ館付近)


f:id:kitanominami:20240816163726j:image

ハイイロウソ(2023.11フットパス北側の道)


f:id:kitanominami:20240816163653j:image

アカゲラ(2023.11フットパス北側の道)


f:id:kitanominami:20240816163731j:image

マミジロ(2024.5フットパス⑤付近)


f:id:kitanominami:20240816163702j:image

ハシブトアカゲラ(2024.5フットパス①)

 

〈おまけ〉焼尻島

天売島が注目されがちですが、焼尻島にも勿論珍しい鳥が入ります。環境は都市公園の様な明るい紅葉樹がまばらに生えた環境や池などがあり、また天売島とは違い面白いです。しかし、探鳥地がそれほど広くないため(西側の牧場が広過ぎて探鳥に適さないため)、何泊かして探鳥するには天売島の方がおすすめです。自分のおすすめの焼尻での探鳥は、午後便で島に渡る際に焼尻島泊をして、翌日1便で天売島へ向かったり、天売島から羽幌へ帰る際に1便に乗って一度焼尻島で降りて探鳥し、2便で羽幌へ向かうのがおすすめです。

f:id:kitanominami:20240816170031j:image

チフチャフ(2019.5焼尻島東部)


f:id:kitanominami:20240816170036j:image

ミゾゴイ (2019.5焼尻島東部)


f:id:kitanominami:20240816170027j:image

ツメナガホオジロ(2019.9焼尻島北東部)